小論文
受験全般
看護系小論文の書き方|評価される答案はどう作る?考え方と文章の組み立て方
あすなろ講師 平田
看護大学や看護専門学校、助産師・保健師の養成課程、大学院などの入試では、小論文が課されることがあります。
看護系小論文の対策というと、
「序論・本論・結論の型を覚えよう」
「医療ニュースをたくさん読もう」
「頻出テーマを覚えておこう」
と考える方も多いかもしれません。
もちろん、文章の基本的な型を知ることや、医療・看護を取り巻く社会について学んでおくことは大切です。
ただ、看護系の小論文で大切なのは、それだけではありません。
問われていることを正しく捉え、自分の考えを持ちながら、別の立場や価値観にも目を向け、限られた時間の中で相手に伝わる文章にすること。
小論文には、その人がどのように物事を考え、どのように人や社会を捉えているのかが表れます。
今回は、看護系小論文を書くときに大切にしてほしい考え方をお伝えします。
看護系小論文は「文章が上手な人」を選ぶだけの試験ではありません
小論文という言葉を聞くと、
「文章を書くのが苦手だから不利かもしれない」
「語彙力がないから、立派な文章が書けない」
と不安になる方がいます。
もちろん、文章を書くための基本的な力は必要です。しかし、小説家のような美しい文章を書くことや、難しい言葉をたくさん使うことが求められているわけではありません。
看護系の小論文では、文章を通して、
問いを正しく理解できているか。
自分なりの考えを持っているか。
その考えに根拠があるか。
一つの方向だけから物事を見ていないか。
考えたことを、読み手に伝わる順番で表現できているか。
といった部分が表れます。
そして、こうした力は、看護を学び、看護職として人と関わっていくうえでも大切な力です。
だからこそ、小論文対策は「きれいな文章を書く練習」だけではなく、考える練習でもあると私は考えています。
まず大切なのは「自分が書きたいこと」ではなく、問いに答えること
小論文を書くとき、最初に確認してほしいのは、「この問題では、何を聞かれているのか」ということです。
知っているテーマが出ると、つい自分が準備してきた知識を書きたくなります。
たとえば、医療におけるAIについて問われたときに、
AIとは何か。
現在どのような技術が使われているか。
医療DXがどのように進んでいるか。
といった知識をたくさん書くことはできます。
しかし、問題が「医療にAIを導入することについて、あなたの考えを述べなさい」であれば、求められているのは知識の説明だけではありません。「あなたはどう考えるのか」まで答える必要があります。
反対に、設問で聞かれていないのに、無理に自分の看護観や将来像まで付け加えればよいわけでもありません。
まず問いを正確に読み取る。これは当たり前のように見えて、小論文を書くうえでとても大切な第一歩です。
自分の意見を持ちながら「別の立場」からも考えてみる
小論文では、自分の意見を持つことが大切です。
しかし、看護系の小論文では、「私はこう思う。だからこれが正しい」だけで終わらせない視点も持ってほしいと思います。
看護の対象となる人には、それぞれ違う生活があります。年齢も、家族構成も、健康状態も、育ってきた環境も、大切にしていることも違います。
自分にとって望ましいと思えることが、別の人にとっても同じように望ましいとは限りません。
たとえば、ある医療や支援について自分では「良いことだ」と考えたとしても、
患者さんの立場ではどうだろう。
ご家族から見るとどうだろう。
医療者にはどのような課題があるだろう。
異なる価値観を持つ人は、どう考えるだろう。
と一度視点を広げてみる。
その結果、「最初はこう考えていたけれど、別の立場から見ると、このような課題にも配慮する必要があると考えた」というところまで考えられると、文章にも深さが生まれます。
自分の意見をなくす必要はありません。自分の意見を持ちながら、自分とは異なる考え方の存在にも気づく。そして、それらを踏まえたうえで、自分はどう考えるのかを伝える。
こうした思考は、さまざまな価値観を持つ人と関わる看護にもつながっています。
「看護的視点」は、最後に「寄り添いたい」と書けば生まれるものではありません
看護系の小論文だから、「最後には必ず看護師について書かなければ」と考える方もいます。
その結果、「患者さんに寄り添える看護師になりたいと思います」という文章を、どんなテーマにも最後につけてしまうことがあります。
もちろん、本当にそこにつながるテーマであれば問題ありません。ただ、「看護師」という言葉を入れるだけで、看護的な小論文になるわけではありません。
むしろ大切なのは、
自分とは異なる価値観を想像できること。
一方向から決めつけずに考えられること。
その人の背景や置かれている状況まで考えようとすること。
そして、「それを踏まえて、看護職としてどのように対象と向き合いたいのか」まで考えることです。
「看護らしい言葉」を探すよりも、考える過程そのものを丁寧にしていく。その方が、結果として看護を学ぶ人らしい視点につながっていきます。
経験を書くときは「何ができたか」だけで終わらせない
実習やボランティア、高校生活、仕事など、自分自身の経験を書く問題もあります。
そのとき、
「私はこんなことができました」
「積極的にコミュニケーションを取りました」
「リーダーとしてみんなをまとめました」
と、自分ができたことをアピールしたくなることもあるでしょう。
もちろん、自分が努力した経験を書くことは悪いことではありません。
ただ、それ以上に大切にしてほしいのが、「その経験によって、自分の考えがどう変わったのか」という部分です。
たとえば、
自分では十分にできていると思っていたけれど、相手の反応から自分の関わり方を見直した。
自分とは違う意見に戸惑ったけれど、話を聞くことで別の考え方にも理由があることに気づいた。
うまくいかない経験をしたけれど、原因を考え、周囲に相談しながら次の行動を変えた。
こうした経験には、気づく力、学ぶ力、柔軟性、困難に向き合う力が表れます。
成功した経験だけを書く必要はありません。むしろ、うまくいかなかったことから、何を考え、どう次につなげたのか。そこに、その人らしさが表れることもあります。
看護職だからこそ「正確に伝わる文章」を書く力も大切です
看護職は、実は文章を書く機会の多い仕事です。
看護記録をはじめ、報告や計画、レポートなど、文字を使って相手に情報を伝える場面があります。
そこで必要なのは、文学的に美しい文章ではありません。読んだ相手に、伝えたいことが正確に伝わる文章です。
小論文でも、
主語と述語が対応しているか。
一文が必要以上に長くなっていないか。
前の文章と次の文章がつながっているか。
「なぜなら」と書いた後に本当に理由が続いているか。
結論と根拠がずれていないか。
といった基本を大切にしてください。
難しい言葉を使うよりも、シンプルでも意味が伝わる文章の方が読みやすいことがあります。
文章を書いた後には、「初めてこの文章を読む人にも、同じ意味で伝わるだろうか」という視点で読み返してみてください。
「問い→自分の考え→別の視点→根拠→結論」の順番で整理してみる
いきなり原稿用紙に文章を書き始めると、途中で何を言いたかったのか分からなくなることがあります。
そのため、私はまず頭の中を整理することをおすすめします。
たとえば、
何を問われているのか
自分はどう考えるのか
反対の立場や別の立場から見るとどうか
それでも自分はなぜそう考えるのか
看護や自分自身の経験と、どこでつながるのか
最終的に何を伝えたいのか
という順番で考えてみます。
この段階である程度筋道が見えていれば、文章を書き始めてから迷子になりにくくなります。
序論・本論・結論という「型」は、その考えを読み手に分かりやすく伝えるためのものです。
型に自分の考えを無理やり押し込むのではなく、考えを整理したうえで、伝わりやすい形に整える。その順番を大切にしてみてください。
100点の文章を目指して書き終わらないより、時間内に答案を完成させる
小論文の試験には時間制限があります。
文章を書くことに慣れていないと、「もっといい表現にできるかもしれない」と一つの文章を何度も書き直しているうちに、時間がなくなってしまうことがあります。
もちろん、推敲することは大切です。
ただ、本番で求められるのは、時間をかければ完成する文章ではありません。限られた時間の中で、問いを読み、考えを整理し、文章として最後まで仕上げる力も必要です。
100%納得できる一段落を作ることに時間を使いすぎて、最後まで書き終わらない。
それよりも、全体の構成を先に考え、ある程度の文章になったら次へ進み、最後に全体を見直す。という進め方の方が安定します。
目指したいのは、「一文一文を完璧にすること」ではなく、「限られた時間で、筋の通った一つの答案を完成させること」です。
そのためには、普段の練習から時間を測って書くことも大切です。この力は、書く練習を重ねることで必ず身につけることができます。
まとめ|看護系小論文では「どのように考えたか」を文章で伝える
看護系の小論文では、難しい医療知識をたくさん知っていることや、きれいな文章を書けることだけが大切なのではありません。
まず問いを正確に捉える。自分の意見を持つ。そのうえで、患者さんやご家族、医療者、自分とは違う価値観を持つ人など、別の立場からも考えてみる。そして、考えたことを根拠とともに、読み手に伝わる文章にする。
経験を書くときにも、「こんなことができました」だけではなく、「その経験から何に気づき、自分の考えや行動がどう変わったのか」まで振り返ってみてください。
看護では、目の前の人を自分の価値観だけで判断するのではなく、その人の背景や大切にしていることを考えながら関わることが求められます。
小論文でも同じように、一つの答えを急いで出すのではなく、
「別の見方はないだろうか」
「なぜ私はそう考えるのだろう」
「相手にはどう伝わるだろう」
と考えてみる。そして、限られた時間の中で最後まで一つの文章にする。
看護系小論文の対策では、文章の型を覚えるだけではなく、こうした「考える過程」そのものを大切にしてほしいと思います。
あすなろでは、看護大学の元教員が、一人ひとりの経験や思いを大切にしながら、志望理由書・小論文・面接など、看護・助産系学校の受験を個別にサポートしています。
「自分の思いをどう伝えたらいいか分からない」
「この内容で伝わるのか不安」
そんなときは、一人で抱え込まずにご相談ください。
あなたらしい言葉で、自信を持って受験に臨めるよう、一緒に整理していきます。
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